1.空売りとは何か
空売りとは、以下をいいます。
- 手持ちの有価証券がないのに売ること。
- 有価証券を借りて売ること。
- 有価証券をもっている場合でも、その有価証券を売付け後遅滞なく当該有価証券を提供できることが明らかでないのに売ること
- 上記1~3の委託等(媒介、取次ぎ又は代理の申込み)をすること
- 上記1~3の受託等(媒介、取次ぎ又は代理の申込みを受ける)をすること
投資家が業者に申込みをすること自体も「空売り」に該当します。
業者が投資家の申込みを受けることも「空売り」に該当します。
金商法162条1項1号、金商令26条の2です。
2.ネイキッド・ショート・セリングの禁止
空売りした場合、相手方に売った有価証券を渡す必要がありますが、その有価証券を手に入れる目処が立っていない場合をネイキッド・ショート・セリングといいます。
投資家は、業者に対してネイキッド・ショート・セリングでないことを明らかにする義務があります。
業者の側でも、ネイキッド・ショート・セリングでないか確認し、ネイキッド・ショート・セリングの場合には取引を止める義務があります。
業者の関与としては、取次ぎにより空売りを行う場合と、空売りを行う業者に対する委託を取次ぐ場合がありますが、両方の業者に義務が課されています。
金商令26条の2の2です。
3.空売りであることの明示
空売りを行う場合には、空売りであることを明示する必要があります。
投資家は、業者に対して空売りか否かを明らかにする義務があります。
業者の側でも、空売りかどうか確認する義務があります。
業者の関与としては、取次ぎにより空売りを行う場合と、空売りを行う業者に対する委託を取次ぐ場合がありますが、両方の業者に義務が課されています。
取次ぎにより空売りを行う業者は、取引所に対して空売りか否かを明らかにする義務を負います。
金商令26条の3です。
4.アップティック・ルール
空売りの価格についての規制です。
直近に取引所が公表した市場価格以下の空売りは禁止されます。
投資家は、市場価格以下の空売りの注文を出すことができません。
業者の側でも、市場価格以下の空売りをすることが禁止されています。
金商令26条の4です。
5.空売りの情報提供
0.25%以上の空売りポジションは、報告対象になります。
投資家は、業者に自己のポジション等の情報を提供することが義務づけられています。
空売りを行う業者に対する委託を取次ぐ業者は、相手方(空売りを行う業者)に情報提供を行う必要があります。
取次ぎにより空売りを行う業者は、取引所に対する報告が義務づけられています。
取引所は集めた情報を公表します。
金商令26条の5です。
6.日本版Reg M
また別の機会に。