”国内の会社が発行する社債”を国内→海外と譲渡する場合、外為法が問題になります。
 
その簡単なまとめです。

1.なにが問題になるか?

まず、社債を取得した者について、”対内直接投資等”が問題になります。 

次に、社債を譲渡した者について、”資本取引”が問題になります。

最後に、社債を譲渡した者(代金を受け取った者)について、”支払いの受領”が問題になります。

これらに該当する場合、事前届出+待機期間、事後報告が問題になります。

以下で詳しく見ていきます。

2.対内直接投資等 

(1) 取得者が外国投資家の場合に問題となる

対内直接投資等は、株式を取得した者が「外国投資家」である場合に問題となります。

外国投資家の定義については、国内→海外の株式譲渡を参照。

ただし、居住者外国投資家が行う円建て社債の取得は除外されます。

(2) 社債の償還日までの期間が1年超であり、募集が特定の外国投資家に対してされる場合のみ問題になる

社債の償還日までの期間が1年超であることが要件の一つですので、償還までの期間が1年以下であれば対内直接投資等には該当しません。

また、募集が特定の外国投資家に対してされることも要件の一つですので、広く募集される場合には対内直接投資等には該当しません。

(3) 銀行・金商業者等が業として取得する場合には対内直接投資等に該当しない

銀行業、信託業、保険業もしくは金融商品取引業を営む者または業としての金銭の貸付けを主として行う者が業して取得する場合には、対内直接投資等には該当しません。
 
(4) 取得後の残高が1億円超であり、社債・貸付残高の50%超を保有することとなる場合には対内直接投資等に該当

取得後の社債の残高が1億円超になり、かつ、取得後における社債・貸付残高が50%超を超える場合には、対内直接投資等となります。

計算に当たっては、親会社、子会社、兄弟会社など「特別の関係にある者」を合算します。

(5) 「取得者の国・地域」と「株式の発行者の業種」によっては、事前届出が必要

対内直接投資等に該当する場合、まずは事前届出が問題となります。

事前届出が必要かどうかは、「取得者の国・地域」と「株式の発行者の業種」が問題となります。

ここでは詳しくは述べませんが、リストと照合して確認する必要があります。

(6) 事前届出が不要でも、事後報告が問題

事前届出が不要でも、事後報告が必要とされます。

報告義務に関する金額の下限はありませんが、取得後の社債の残高が1億円以下であればそもそも対内直接投資等に該当しません。

提出締切は、取引の翌月15日です。

外国投資家が非居住者外国投資家である場合、居住者である代理人を通じて事後報告を行う必要があります。

3.資本取引

(1) 非居住者に対する譲渡が問題となる

(2) 大量破壊兵器関係は許可が必要

(3) 許可がいらない場合、1億円超で事後報告

国内→海外の株式譲渡と同じです。

業者が媒介、取次または代理をしている場合、業者が報告を行います。報告期限は取引から20日以内です。

業者が媒介等していない場合、居住者自身が報告を行います。報告期限は同じく取引から20日以内です。

4.支払の受領

国内→海外の株式譲渡と同じです。

国内の銀行や外国銀行の国内支店を経由した場合、銀行等経由で報告することとなります。この場合、銀行等への報告の締切は、取引から10日以内です。

国内の銀行等を経由しない場合、居住者が日銀に報告する必要があります。この場合、締切は翌月20日です。