公開買付け規制は、普通の人には読みこなせない条文になっています。そこで基礎の基礎。

株式をたくさん買い集めるときに公開買付け規制が問題となる

株式をたくさん買い集めると、会社支配について影響が出ます。その際に、株主に公平な売却の機会を与えるのが公開買付け規制です。

公開買付け規制の最大の問題点は公開買付けの強制

株式を一定以上買い集めると、公開買付けが強制されます。

この場合、以下のような問題が発生します。
  • 公開買付届出書などの開示義務が課され、手続にも規制がある。
  • 所有割合が3分の2以上になる買い集めは、全部買付けが義務付けられる(金商法27条の13第4項)。
  • 買付に上限がある場合(3分の2未満)、取得は按分比例でなければならない(金商法27条の13第5項)。
  • 公開買付け期間中は別途買付けは禁止(金商法27条の5本文)。
市場で買い集める分には問題は少ない

市場で買い集める分には、株主に公平な売却の機会が与えられるので、公開買付け規制は基本的に問題となりません。

ただし、ToSTNeTで取得する場合で、所有割合が3分の1超になる場合には公開買付けが強制されます。

市場外で多数の者から買い集めると公開買付け規制が問題となる

60日間で11名以上の者から取得する場合で、所有割合が5%超となる場合には、公開買付けが強制されます。

市場外で少数の者から買い集める場合でも、割合が大きければ公開買付け規制が問題となる

60日間で10名以下の者から取得する場合でも、所有割合が3分の1超となる場合には、公開買付が強制されます。

市場外の取得と市場での取得が合算される場合がある

3か月以内に10%を取得し、そのうち5%が市場外又はToSTNetによるものであり、所有割合が3分の1超になる場合には公開買付けが強制されます。

他者の公開買付け期間中の取得も規制される

他者の公開買付け期間中に、3分の1超を有する者が、5%超の買付けをするときには、公開買付けが強制されます。